Machiko Takagi CDアルバム
Kahu Nu Suma
〜果報ぬ島〜
Kahu Nu Suma ~果報ぬ島~
1-Awa Uta 5:51
2-Akanma Bushi-Shura Bushi 6:55
3-Kumoma Bushi 5:25
4-Tsundara Bushi-Kubayamakuitsu Bushi 5:47
5-Miruku BUshi 3:19
6-Hifumi Norito 3:42
7-Tsukunukaisha 4:22
髙木真知子: Vocal,Sanshin(三線)
沢田穣治: Contrabass ,Piano, Sanshin
渡辺亮: Percussion
Produced by 沢田穣治
Recorded at studio BOSCO, Shiga
Recording, Mixing & Mastering Engineer: 森崇 (BOSCO MUSIC)
Unknown Silence Nowhere Music ink.
https://www.unknown-silence.com
定価 2200円(消費税・送料込み)
日本語解説
「Kahu Nu Suma ~果報の島~」
初めての八重山旅行で島唄に触れた時、源から解き放たれた様な安らぎを感じました。
自然や生活の中に溶け込む様にある島唄の数々は、島に暮らす人々にとって、水や空氣、動植物と共に在る島の風景の様に感じます。
しかしこの 2、3年で、その風景は大きく変わってきています。
かけがえがない故に、今ではとても儚く感じるようになってしまった、島の原風景への敬意と感謝の想いから「あわうた」や「ひふみ祝詞」をうたうようになりました。
この度、素晴らしいミュージシャン、エンジニアの方々のご協力のもと、まるで絵画の様な音楽が生まれ、皆様のもとへお届けできる事をとても嬉しく思います。
最後になりましたが、唄や島の暮らしで関わって下さった多くの方々のご縁、八重山の神々と自然、文化、その全ての繋がりに感謝致します。
2019年 11月 髙木真知子
一、あわうた (古代神唄 作曲 髙木真知子 編曲 沢田穣治)
あかはなま
いきひにみうく
ふぬむえけ
へねめおこほの
もとろそよ
をてれせゑつる
すゆんちり
しゐたらさやわ
解説
「あわうた」は、日本最古の叙事詩・歴史書ともいわれる「ホツマツタヱ」の中に記された、48音からなる5・7調のうた。
初めの「あ」と終わりの「わ」の二つの音の間に、森羅万象のすべてが含まれている。
二、赤馬節~しゅうら節(八重山民謡)
赤馬節
いらさにしゃ今日ぬ日
どぅきさにしゃ黄金日
我ん産でぃる今日だら
羽生いるたきだら
~しゅうら節
今日ぬ日ば 黄金日ば本ばしヨゥ
夜の七日 昼の七日祝いすヨゥ
意味
なんとも素晴らしい、今日という日。
わたしは今日、生まれ変わり、
まるで背中に羽根が生えて羽ばたいて行けそうな、
そんな氣分です。
今日のよき日、黄金の様に尊いこの日を基礎として
夜の7日、昼間の7日、お祝いをいたしましょう。
解説
八重山の代表的な祝い歌。
駿馬で有名であった赤馬の主に琉球王府から御陵馬として献上せよとのお達しがあり、我が子の様に可愛がっていた赤馬を献上したところ、首里に渡った、赤馬は手がつけられないほどの暴れ馬になってしまった。ところが赤馬は駆けつけた主の姿を見るが否や、元の駿馬に戻る。その姿を見た琉球国王は、怒るどころか赤馬のその霊妙な足取り、そして主との絆を称賛する。そして主の元に赤馬を返し、主には昇格が与えられた。元々は赤馬を首里へ見送る時の餞として作られた曲だが、ここに収録された唄の詞は、その時の赤馬の主の喜びの思いを唄っており、八重山で歌唱されている「赤馬節」はこの歌詞であることが多い。
三、小浜節 (八重山民謡)
小浜てぃる島や果報ぬ島やりば
大嵩ばくさでぃ白浜前なし
大嵩に登てぃ押し下し見りば
稲粟ぬ稔り弥勒世果報
稲粟ぬ色や二十歳頃美童
粒美らさあてぃど御初上ぎる
意味
小浜という島は果報の島。
大嵩(小浜島で一番高い丘)を後ろに白浜が前に広がる。
大嵩に登って島を見渡すと
稲や粟の実りはとても豊かで 弥勒世果報でございます。
稲や粟の色は二十歳頃の乙女の様です。
粒が美しく揃っているものから、初穂として神様に献上いたしましょう。
解説
八重山を代表する名曲として知られ、豊作を祝う奉納芸能でも欠かせない曲。
「小浜」の発音は「くもーま」、または「くもう」「くまま」と発音される。
四、つぃんだら節ー久場山越路節(八重山民謡)
サー とぅばらまとぅ我んとぅやヨゥ スーリ
童からぬ遊びとぅら つぃんだら つぃんだらヨー
かぬしゃまとぅ此りとぅやヨゥ スーリ
小さからぬむつぃりとぅら つぃんだら つぃんだらヨー
サー 島とぅとぅみで思うだらヨゥ スーリ
村とぅとぅみで思うだら つぃんだら つぃんだらヨー
沖縄からぬ御意思ぬヨゥ スーリ
美御前からぬ御指図ぬ つぃんだら つぃんだらヨー
サー島分かりでうふぁられヨゥ スーリ
村分かりでうふぁられ つぃんだら つぃんだらヨー
うばたんがどぅけなりヨゥ スーリ
野底に分ぎられ つぃんだら つぃんだらヨー
~久場山越路節
黒島に居るけーや さふ島に居るけーや
ハーリヌ つぃんだらヨゥ かぬしゃまヨゥ
島一づぃやりうり 村一づぃやりうり
ハーリヌ つぃんだらヨゥ かぬしゃまヨゥ
意味
彼とわたしは幼い頃からの遊び友達でした。
彼女とわたしは、小さい頃から慣れ親しんだ仲でした
愛しいことよ、切ないことよ
島と共に一緒にいられると思っていました。
村と共に一緒にいられると思っていました。
沖縄からの御命令で 琉球王朝からの御指図で
愛しいことよ、切ないことよ
島を分けよと仰せられ、 村を分けよと、仰せられ
貴女が一人、酷い事に野底に引き離されました。
愛しいことよ、切ないことよ
黒島にいた頃は この島にいた頃は
島は一つ、村は一つと思っていました。
愛しい貴女よ。
解説
琉球政府によって黒島より石垣島の野底へ新村を作るために強制移住させらた女性、マーペの悲恋歌。マーペと恋仲であった青年、カナムイとの想いが綴られている。「つぃんだら」の意味は、愛おしい、哀しい、憐れだ、切ない、そんな想いが全て含まれている。野底岳が「マーペ」と呼ばれるのはこの物語からの由縁。
五、弥勒節(八重山民謡 編曲 沢田穣治 渡辺亮)
大国ぬ弥勒 我島にいもち
うかきぶせみしょうり 島ぬ主 島ぬ主
弥勒世やいもち 遊ばばん遊び
踊らばん踊るぃ 御免しでむぬ 御免しでむぬ
意味
大国の弥勒様が 我島にいらしゃいました。
どうかこの島をお治めください 島の護り神様
弥勒の世が来ました。 遊び、踊りましょう。
御許しがでました。
解説
八重山の島々で祭祀の際、参加者全員で唄われる弥勒(ミルク)神様降臨の曲。
「大国」とは、海の向こうにある立派な国という意味。
途方もない年月をかけて辿り着いた、現在に至るまでの人と文化の流れを感じさせる曲。
六、ひふみ祝詞 (古代祝詞、 作曲 髙木真知子 編曲 沢田穣治)
ひふみ よいむなや こともちろらね
しきる ゆゐつわぬ そをたはくめか
うおえ にさりへて のますあせゑ ほれけ
解説
日本の古代祝詞。
唱えるだけでその場所を調整、浄化する力を持っていると言われている。
島の自然から生まれたメロディと共に。
七、月ぬ美しゃ(八重山民謡)
予定曲を全て収録した後に、オマケとして1テイクで録った、月夜の子守唄。
3番の歌詞の「月ぬ夜」というところを、うっかり「大月ぬ夜」と唄っている!
「あれほどの大きな月の夜ですから、みんなで遊びましょう!」